走る栄養士のおすすめレシピRecipe

走る栄養士のおすすめレシピ
天満屋女子陸上競技部の管理栄養士の向井です。
この仕事に就いて、早いもので12年目になりました。
私が入社した当初(2000年5月)は管理栄養士が専属でいる実業団チームはあまりありませんでした。
しかし、この最近ではおそらくほとんどのチームに栄養士が携わるようになってきました。
それだけ、陸上選手にとって「栄養」はトレーニングとともに大事なものであることが認識されてきたのです。
恥ずかしながら、私も市民ランナーのはしくれなのですが(桃太郎夢クラブにて監督をはじめとするスタッフにビシビシ鍛えてもらってます)、練習会に参加しているランナーの方々やあるいはお子さんがスポーツをしているというお母さんなどから、よく質問や相談を受けます。
たとえば、「天満屋の選手はどんなもの食べてるの?」「選手は好き嫌いはないの?」「選手はおやつとか食べないの?」などなど。
皆さん、天満屋の選手の食事に興味津々なのです。
これらの疑問に少しずつお答えすべく、天満屋の人気メニューや旬な食材を取り入れたメニューなんかを紹介していきたいと思います。

おすすめレシピ2012年春号

2011秋号を更新して以来、冬を飛び越え、春になってしまいました。
この間にも選手は駅伝にマラソンに合宿にと相変わらず走りまわっています。中でも大阪国際女子マラソンで優勝した重友がロンドンオリンピックのマラソン代表に選ばれたことは何よりもチームに刺激をもたらしました。大阪のレース当日は私も地下鉄を乗り継いで応援にまわりました。ゴールの瞬間はリアルタイムでは見ることはできなかったので、後で録画で見ました。やはりトップでゴールテープを切る瞬間というのは言葉にできないくらい感動しますが、私にとって何よりほっとするのはスタートラインに立っている姿をみたときです。選手自身はすごく緊張している状態でしょうが、元気にあの場所に立てたんだなあと思うと良かったなあと思います。もちろん、結果もついてきてくれるとさらに良しです。

さて、ご存知の方も多いと思いますが、フルマラソンを走る前には「カーボローディング」という食事法を実践します。
「カーボ」は英語の「カーボハイドレイト(carbohydrate=炭水化物)」の略、「ローディング(loading)」は英語で「詰め込む」という意味です。つまり、「カーボローディング」とは「炭水化物を体に詰め込むこと」です。マラソンやトライアスロンなどの運動中の主なエネルギー源はグリコーゲンです。そしてグリコーゲンの素となるのは炭水化物です。ガソリンが満タンの車はそれだけ長い距離を走ることができます。満タンになっていないと、ガス欠になってしまいます。人間の体もガソリンの役割をするグリコーゲンが満タンになっていないと、長い距離を走り切ることができないのです。なので、レース前には炭水化物をしっかりとり、グリコーゲンとしていかに体に蓄えるかが大切になってきます。

具体的に説明しますと、レースの1週間前から3日間は通常の食事あるいは炭水化物の摂取量を少し減らした食事をとります。炭水化物の摂取を減らす場合は、その分、タンパク質やミネラル(野菜や海草など)を多くとります。
レースの3日前からは炭水化物中心の食事をとります。つまり、ご飯、パン、うどん、パスタ、餅、カステラなどです。「炊き込みご飯+うどん」や「丼ぶりもの+うどん」、「パン+パスタ」のようなセットをイメージすると良いかと思います。あるいは汁ものに餅を入れたり、間食でカステラをとるのもいいですね。また炭水化物がエネルギー源として効率よく使われるために必要なビタミンB群もしっかりとってください。炭水化物を体内に吸収するとき、水分も取り込むため1~2kg体重が増加することは頭に入れて調整してくださいね。
ただし、これまで見てきた選手でもカーボローディングの方法は様々で、前半は全く炭水化物をとらない選手もいれば、通常の半分の炭水化物で調整する選手、あるいは通常どおりの食事で調整する選手もいます。選手の数だけ、カーボローディングの方法があると言えます。大事なレース前に一度、シミュレーションをして自分にあった方法を見つけておきましょう。

ということで、今回はカーボローディング後半に入って炭水化物解禁となった時、選手にリクエストを聞いて一番多かったメニューを紹介します。

親子丼

[材料(4人分)]
ご飯 180gx4
鶏もも 240g (脂肪が気になる人は皮を取り除き、細かく切る)
玉ねぎ 80g(くしがた切り)
卵 4個
酒 大2
だし汁 300cc
砂糖 大2
みりん 大2
醤油 大4
青ねぎ 少々
  • ① 鍋にだし汁、酒、砂糖、みりん、醤油を入れ、玉ねぎを加え、火にかける。
  • ② 煮立ったら、鶏肉を加える。
  • ③ 肉に火が通ったら、溶き卵をまわし入れ、鍋にふたをする。
  • ④ 卵が半熟状になったら、どんぶりによそったご飯の上にかけ、小口切りのねぎをちらして出来上がり。

作り方も材料もいたって普通の親子丼です(面白みがなくてすみません)。レース前だからといってとりわけ豪華なものを食べるわけでもなく、いつもどおりの食べ慣れたものをとるということも大事なことです。ご馳走はレース後のお楽しみでいいのです。うちのチームは日曜がレースだと木曜の昼食から炭水化物中心の献立になります。この冬、マラソンを走った坂本、泉、重友の3人とも口をそろえて「親子丼食べたい!」でした。うちのチームの勝負めしは親子丼なのかもしれません。

私ごとですが、秋号でお知らせしていた東京マラソンを走ってきました。その3週間前には私の地元で行われた愛媛マラソンも走りました。結果は愛媛マラソンで自己ベストの3時間11分33。目標だった3時間15分切りを達成することができたので、東京では走りながら観光するような気持ちでレースを楽しむことができました。こちらの結果は3時間17分42。愛媛も東京も選手にあやかってレース前にはもちろん親子丼を食べました。
みなさんも自分にあう勝負めしを探してみてはいかがですか。

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